税理士を交代しないといけない!? そんな時はどう選ぶ?

はじめに

税理士の交代理由ってどんな種類があるんだろ?と考えてたところ、福岡で税理士法人アーリークロスの代表をしている小西さんがTwitter、以下のことをつぶやいているのを見ました。

税理士が高齢化が進んでいるのは色んな所で話題になっていますが、流石にこのような事例があるのはマズイよな・・・。と思い、今回は表題の通り記事を書きました。

この記事をキッカケに、税理士を交代する理由と、交代の時に気にすること、そもそも交代をしなくて済む税理士の選び方を学んでもらえれば幸いです。

税理士を交代するキッカケ

まず前提として、税理士は一度付き合いを始めると関係はとても長くなります。

ミロク情報サービスが提供している税理士白書(2017)によると、税理士とのお付き合いが11年以上を越える事業者の方が過半数を占めるというという結果が出ております。

自由競争化が進んできたとはいえ、原則的には一度付き合いを始めたら長期的に付き合い、相互にビジネス理解を深めていきながら関係構築を行うことになります。また、長期的な関係からなるビジネス理解や信頼関係を失うことになることから、税理士交代はよほどの事が無い限りは行いたくないと経営者の方が考えるはずです。

しかし、想定外の理由で税理士から解約を申し出られるケースもあるかもしれません。

そこで、以下にどのような場合に税理士の交代が行われるキッカケになるのか解説します。

税理士が引退した・亡くなった

税理士の平均年齢は65歳です。

したがって、高齢化に伴う体力低下などにより、業務を行えなくなる可能性は十分に有り得ます。

もしもの場合に備えて、後継者の税理士を採用したり、同じ地域の友人にクライアントを紹介することもありますが。税理士が突然亡くなってしまい、クライアントが途方に暮れるケースも有り得ます。

クライアントにとっては「今まで付き合ってた税理士さんが居なくなってどうしよう!?」と一番困るケースになると考えられます。

税理士事務所がM&Aされた

最近活発になってきているのが、税理士事務所のM&Aになります。

良くあるのが、元々税理士事務所を経営していた高齢の先生が、別の会計事務所に顧客と従業員を含めて売却するというケースです。

クライアント目線からすると、事務所の代表だけは変わったが(中には社員税理士として在籍することもあるが)、担当者などはそのままのケースも多く、そんなに困らないケースになると考えられます。

クライアントの事業拡大に税理士事務所が追いつかない

成長著しい企業の場合は、そもそものビジネスモデルが大きく変革することも有り得ます。例えば、事業拡大により海外工場を持つようになった、輸出取引が売上の大部分を占めるようになった、複雑な会計処理を伴う取引が発生したなどがあります。

しかし、税理士事務所によっては、こうした複雑な処理に対応を仕切れない場合もあることから、その場合は税理士事務所側から解約を申し出る場合があります。

しかし、こちらはクライアントにご迷惑をかけるケースも多いため、後任の税理士紹介や引き継ぎを十分に行うことが多いです。

税理士のサービスが悪くて不満を持った

こちらに関しては、税理士に対して不満を持って解約を行うケースになります。不満の理由は以下のようなものがあります。

  • 価格の割にアドバイスやコミュニケーション量が少ない
  • IT化に対応してくれない
  • コミュニケーションが合わない
  • 担当者がコロコロ変わり引き継ぎがされてない
  • ミスが多い

ミスやアドバイスの内容という技術面も当然ですが、コミュニケーションの部分が要因というケースも多いので、税理士との契約を行う際・変更の際には気をつけるのが望ましいです。

また、もし税理士のサービスが悪くて解約をする場合でも、きちんと引き継ぎを行うようにコミュニケーションを行うのが望ましいです。そうしないと交代後の報酬に跳ねてしまうため、そこだけはちゃんとやりましょ。

また、税理士と事業会社がお互いに持つフラストレーションについては、以下の記事も参照いただけると幸いです。

クライアントに対して不満を持った

逆に税理士がクライアントに対して不満を持ったことから、解約を申し出るケースも実は存在します。

  • 脱税・違法行為の提案や強要をされた
  • 過度な料金値下げの要求
  • 業務内容は責任範囲を逸脱した要求や提案
  • 料金に見合わないサービスの提供要求

税理士側が複数のクライアントを抱えているかつ、それぞれから報酬を頂いています。そのため、報酬に見合わない顧客に対して契約解除を行うことは十分に有り得ます。

税理士変更の際に行わないといけないこと

税理士探し

税理士変更を行わないといけなくなった場合は、必ず次の税理士を探さないといけないことになります。

税理士交代はなるべく避けたいイベントで、次は起こしたくないかと思いますので、その時は以下の目線で探してみるのが良いかと思います。

  • 比較的年齢が若く、長期的に付き合えそうな人
  • コミュニケーションが取りやすく、相談がしやすい人
  • 自分の事業領域に関連する知識を持っている人

過去の会計データの移行

これは記帳代行まで依頼している会社あるあるかもしれませんが、会計データが自分の手元にないケースがあります。その場合は税理士からデータを依頼して、自社ソフトに移行する作業を行わなければいけません。

ちなみに、この引き継ぎは結構大変なこともあるんですよ。

僕は引き継ぎ元の税理士事務所から「ウチの事務所にメールが使える人が一人しかいないからその人から送らせるね」って言われたあげく、pdfデータが送られたことがありました。

十分な引き継ぎ

会計士・税理士業務を行う大前提として、きちんとビジネスを理解をすることは必須です。そうしないとクライアントに対して適切な業務を提供することは出来ません。そのため、事業内容や会計処理についてきちんと引き継ぎを行わないと、税理士交代を十分に果たせないと考えられます。

引き継ぐ範囲は業務スコープに依存してしまいますが、最低限以下を理解する必要があると考えられます。

  • 事業概要
  • 主な取引先
  • 売上の形態及び計上タイミング
  • 経理処理の妥当性

これらの情報はなるべく十分な期間を持って引き継ぎを行うのが理想的ですが、様々な制約で不可能な場合も考えられます。そうならないためにも、なるべくこまめにこうした情報は文書化しましょう。

そもそも税理士交代をしないようにするには?

若い先生に頼む

高齢な税理士よりも、若い税理士の方が、健康で体力がある可能性が高いことから、突然亡くなったり病気になるリスクは低くなると考えられます。

また、若い税理士のほうがITに明るい可能性が高いため、ITを活用したい若い経営者にとっては相性が良い可能性が高いです。

長期的に事業を行っていきたいと考える方は、若い税理士を探すのもアリだと思います。

事業規模の拡大も踏まえた人を探す

会社設立直後はどうしてもお金がないことから、金額で税理士を決めてしまう傾向があります。

しかし、事業規模が拡大しても対応が出来る人と契約を行うほうが、それぞれに応じたアドバイスを受けられる可能性が高いです。

そのため、やはり組織規模の拡大に応じたコミュニケーションを取れる税理士とやり取りをするのがオススメです。例えば、IPOを目指す会社であれば、最初の段階からIPOのための体制構築までサポートできる会計士・税理士がオススメです。

税理士法人に依頼する

税理士法人は、税理士が2名以上いる組織になります。

税理士法人は最低限2名の税理士が在籍していることから、一人が退職したり亡くなった場合でも、組織自体が無くなることはありません(まぁ2人の社員税理士のうち1人居なくなった状態が半年続いたら、税理士法人は解散になりますが)。

また、税理士が一人しかいない税理士事務所に比較すると、組織化が進んでいることから、十分なリソースがあることから、安定した経営の傾向があります。

しかし、どうしても担当者の実力や相性に依存してしまう傾向があるため(いわゆる担当者ガチャ)、その辺りは気をつけましょう。

さいごに

税理士交代などで色々悩みを抱える人は多いよなぁと思ってた矢先、アーリークロスの小西様のツイートを見て「これは書かねば!」と思い突貫で執筆いたしました。

税理士の交代はなるべくしたくないかと思いますが、もし発生した場合のための対応策と、そうならないための会計士・税理士の選び方を書きました。

とは言え、そういう人を探すのは中々大変だし、相性が合う人を見つけるのはより大変だと思います。

弊社は設立当初から、事業拡大によるシステム化やIPO支援に強みを持っております。もしご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。

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